教えないという教育
Time limit 8 min
By Nihongo PathUpdated
Strategy notes: read these before the passage
- The first paragraph sets a dilemma (too much vs too little teaching). The solution comes with the senior's quoted advice; the example after たとえば shows it concretely.
- Paragraph 3 shifts perspective to the teacher (教える側にも). Questions on 'what changed for the writer' come from here.
- The last sentence uses むしろ to reverse an expectation: 'not teaching' is NOT lazy but the most laborious. This reversal is the thesis.
Passage
新人の指導を任されて、最初に悩んだのは「どこまで教えるか」だった。手順を一から十まで説明すれば、新人は早く仕事を覚える。だが、そうして育った人は、手順にない事態に出会ったとき、動けなくなることが多い。逆に、何も教えずに放っておけば、失敗が続き、本人も周囲も疲れてしまう。
先輩に相談すると、「答えを教えるな、問いを渡せ」と言われた。たとえば書類の作り方を聞かれたら、作り方を説明するのではなく、「この書類は誰が、何のために読むと思う?」と尋ねる。新人は少し考えて、自分なりの形を作ってくる。それが不十分なら、また問いを渡す。時間はかかるが、一か月もすると、聞きに来る前に自分で考えるようになる。
この方法には、教える側にも変化があった。答えを渡すには、自分が答えを知っていればいい。だが、よい問いを渡すには、その仕事の目的を自分が本当に理解していなければならない。新人に問いを考えるうちに、私自身が「この仕事は何のためにあるのか」を、改めて言葉にすることになった。
教育とは、知識を移すことではなく、考える動きを相手の中に起こすことなのだと思う。そしてその動きは、教える側の中にも起こる。教えないという教え方は、手を抜くことではない。むしろ、最も手間のかかる教え方だ。
Vocabulary in this passage
- 指導しどう
- guidance, instruction
- 任されるまかされる
- to be entrusted with
- 手順てじゅん
- procedure
- 事態じたい
- situation
- 放っておくほうっておく
- to leave alone
- 周囲しゅうい
- surroundings, people around
- 問いとい
- question
- 自分なりじぶんなり
- in one's own way
- 不十分ふじゅうぶん
- insufficient
- 改めてあらためて
- anew, again
- 手を抜くてをぬく
- to cut corners
- 手間てま
- effort, labor
Questions
Ready
8:00
of 8:00
0 / 4 answered. Answer every question to check.