会議の沈黙
Time limit 8 min
By Nihongo PathUpdated
Strategy notes: read these before the passage
- 「考えが変わったのは〜ときだった」 marks the turning point. Before it: old belief (沈黙は失敗). After it: new view.
- 「これらの事情」 refers to the quoted list in the same paragraph. When a demonstrative follows a list, the answer is a summary of that list.
- The final two sentences are the thesis in metaphor (空白ではない). Translate the metaphor into plain terms: silence contains unspoken opinions.
Passage
会議で誰も発言しない時間が続くと、司会者は焦る。「何かご意見は」と促し、それでも沈黙が続けば、自分で話し始めてしまう。私も長い間そうしてきた。沈黙は失敗だと思っていたからだ。
考えが変わったのは、海外の取引先との会議に同席したときだった。議題が提示された後、十秒、二十秒と誰も口を開かない。私は落ち着かなかったが、先方の担当者は平然とメモを取っていた。やがて一人が話し始めると、その発言は驚くほど整理されていた。後で聞くと、彼らにとって沈黙は「考えている時間」であり、すぐに答えることのほうがむしろ軽く見られるのだという。
振り返れば、日本の会議で沈黙が生まれる理由も一つではない。本当に意見がない場合もあるが、多くは「まだ考えがまとまっていない」「先に上司の意見を聞きたい」「反対意見を言うと空気を壊す」といった事情が重なっている。司会者が沈黙を埋めてしまうと、これらの事情は表に出ないまま、会議は司会者の意見で進んでしまう。
私は今、会議で沈黙が生まれたら、少なくとも三十秒は待つことにしている。そして「今、どんなことを考えていますか」と、意見ではなく思考の途中を尋ねる。すると、「実はまだ迷っているのですが」という前置きとともに、それまで出なかった視点が出てくることが多い。沈黙は空白ではない。まだ言葉になっていない意見が、そこにある。
Vocabulary in this passage
- 沈黙ちんもく
- silence
- 司会者しかいしゃ
- chairperson, facilitator
- 焦るあせる
- to feel rushed, panic
- 促すうながす
- to urge, prompt
- 取引先とりひきさき
- business partner, client
- 同席するどうせきする
- to sit in on
- 議題ぎだい
- agenda item
- 平然とへいぜんと
- calmly, unfazed
- 軽く見るかるくみる
- to look down on, take lightly
- 事情じじょう
- circumstances
- 埋めるうめる
- to fill (a gap)
- 前置きまえおき
- preface, preamble
Questions
Ready
8:00
of 8:00
0 / 4 answered. Answer every question to check.