手書きの価値(技術)
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By Nihongo PathUpdated
Strategy notes: read these before the passage
- Mark the contrast markers (しかし, ただ, もっとも, ところが): the author's real opinion is usually stated right after them.
- For 指示語 questions (それ, その, これら), look at the sentence immediately before and rephrase it in your own words before checking the options.
- The 'main point' question is answered by the final paragraph. Reject options that are stated in the passage but then explicitly rejected by the author (〜べきだとは言いたいわけではない).
Passage
先日、部下から手書きの礼状を受け取った。取引先への同行に礼を言う内容で、便箋一枚に丁寧な字で書かれていた。メールなら三十秒で済む用件である。それをわざわざ手で書いた理由を尋ねると、「メールだと読み飛ばされそうな気がして」と彼は答えた。
デジタル化が進む中で、手書きという行為はますます珍しいものになっている。会議の記録はタブレットに打ち込み、年賀状はアプリで作り、署名すら電子化された。効率の面で見れば、手書きが機械入力に勝てる要素はほとんどない。にもかかわらず、手書きのものを受け取ると、私たちはなぜか心を動かされる。
その理由の一つは、手書きが「時間の証拠」だからだろう。文字の傾きやにじみは、書き手がその時間を自分のために使ったことを示している。もう一つは、修正が難しいという性質にある。メールは送信の直前まで書き直せるが、手書きは一度書けば、消した跡が残る。その不完全さが、かえって書き手の誠実さを伝えるのだ。
もっとも、私はすべてを手書きに戻すべきだと言いたいわけではない。日々の連絡はメールやチャットで十分だし、そのほうが相手の負担も少ない。問題は、どの場面で手書きを選ぶかという判断である。技術が進歩するほど、「あえてしない」という選択の意味は大きくなる。便利な道具を使いこなすとは、それを使わない場面を知ることでもあるのだと、部下の手紙は私に教えてくれた。
Vocabulary in this passage
- 礼状れいじょう
- thank-you letter
- 同行どうこう
- accompanying
- 便箋びんせん
- letter paper
- 用件ようけん
- business, matter
- 読み飛ばすよみとばす
- to skim over, skip
- 署名しょめい
- signature
- にもかかわらずにもかかわらず
- nevertheless
- 証拠しょうこ
- evidence, proof
- にじみにじみ
- blur, bleeding (of ink)
- 誠実せいじつ
- sincerity
- もっとももっとも
- however, that said
- あえてあえて
- deliberately, daring to
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