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道Nihongo Path

評論 — 「再現性」という名の信仰

Time limit 8 min

By Nihongo PathUpdated

Strategy notes: read these before the passage

  • Critical essays define the flaw precisely (根本的な欠陥がある…ことだ). Find the sentence that ends in ことだ; it states the flaw.
  • Analogies (bombers) are tested by asking what they illustrate. Connect the analogy back to the main topic explicitly.
  • The writer's final stance is often conditional (法則はないのか…そうは思わない。ただし). Capture both the concession and the condition.

Passage

近年、ビジネス書の棚は「成功の法則」であふれている。成功した経営者の習慣を分析し、そこに共通点を見いだし、それを「法則」として提示する。朝四時に起きる、毎日一冊読む、決断は十秒で下す。読者はそれを真似(まね)れば自分も成功に近づくと信じ、著者はその信仰を糧(かて)に次の本を書く。

しかし、この種の議論には根本的な欠陥(けっかん)がある。分析の対象が「成功した人」に限られていることだ。朝四時に起きて失敗した人は、本にならない。決断を十秒で下して会社を潰(つぶ)した人も、統計には現れない。生き残った者だけを観察して法則を抽出(ちゅうしゅつ)すれば、法則は必ず見つかる。だがそれは、成功の原因ではなく、成功者の特徴にすぎない。

この誤りは「生存者バイアス」として古くから知られている。第二次世界大戦中、帰還(きかん)した爆撃機(ばくげきき)の被弾(ひだん)箇所を調べ、そこを補強しようとした軍に対して、ある統計学者は「帰還できなかった機体が撃たれた場所こそ補強すべきだ」と指摘したという。見えているデータは、常に何かを見えなくした結果である。

では、成功に法則はないのか。私はそうは思わない。ただし、法則を語る資格があるのは、成功例と失敗例の双方(そうほう)を同じ条件で観察した者だけだ。そしてそのような観察は、退屈で、時間がかかり、劇的な結論を生まない。だからこそ本にならないのである。

「再現性」という言葉は科学の用語である。しかし、ビジネス書がこの言葉を使うとき、それはしばしば、科学の装(よそお)いをまとった信仰にすぎない。読者に必要なのは、法則を信じる力ではなく、法則を疑う習慣だろう。

Vocabulary in this passage

再現性さいげんせい
reproducibility
信仰しんこう
faith, belief
見いだすみいだす
to discover, find
糧かて
sustenance, fuel
欠陥けっかん
defect, flaw
抽出するちゅうしゅつする
to extract
生存者バイアスせいぞんしゃばいあす
survivorship bias
帰還するきかんする
to return (from a mission)
被弾ひだん
being hit by fire
双方そうほう
both sides
装いよそおい
guise, appearance
〜にすぎないにすぎない
nothing more than

Questions

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Question 1

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筆者が「成功の法則」本の根本的な欠陥だと考えていることは何か。

Question 2

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爆撃機の例は何を説明するために挙げられているか。

Question 3

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「だからこそ本にならないのである」の「だからこそ」は何を受けているか。

Question 4

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筆者は成功の法則についてどう考えているか。

Question 5

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この文章のタイトル「『再現性』という名の信仰」に込められた意味はどれか。

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