美術評 — 描かないという技術
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By Nihongo PathUpdated
Strategy notes: read these before the passage
- Criticism balances praise and reservation. Locate exactly what is praised (才能, 技術) and what is doubted (方向).
- The ink-painting example is there to define 余白; questions on 考える場所 are answered from that definition.
- Paradoxical statements (描かないという選択は描けない者にはできない) are typical N1 targets; paraphrase them before choosing.
Passage
ある若手画家の個展を見た。技術は申し分ない。色彩は大胆で、構図は緻密、画面のどこを取っても手抜きがない。会場を出て、しかし、私はひどく疲れていた。すべての絵が、見る者に一秒の休息も許さなかったからである。
日本の伝統的な絵画には、「余白」という概念がある。描かれていない部分は、単に空いているのではない。描かれた部分と同じ重さで、あるいはそれ以上の重さで、画面に参加している。水墨画の一筆の鳥が広大な空を感じさせるのは、鳥の描写が優れているからではなく、鳥の周囲に何も描かれていないからだ。余白とは、作者が見る者に手渡す「考える場所」である。
現代の視覚文化は、この場所を組織的に埋めてきた。画面という画面が情報で満たされ、一瞬の空白は「無駄」として排除される。若手画家の作品は、その文化の産物なのだろう。彼は「描き込むこと」を「充実」と取り違えている。だが充実とは、量ではなく、密度と空虚の対比によって生まれるものだ。
私は彼の才能を疑わない。疑っているのは、才能を注ぎ込む方向である。技術を持つ者ほど、それを見せずにいることが難しい。描かないという選択は、描けない者にはできない。それは技術の放棄ではなく、技術の最終段階である。彼が次の個展で、一枚でも「何も描かれていない場所」を残せたなら、私はそこに、彼が画家として成熟した証を見るだろう。
Vocabulary in this passage
- 個展こてん
- solo exhibition
- 申し分ないもうしぶんない
- impeccable
- 緻密ちみつ
- meticulous
- 手抜きてぬき
- cutting corners
- 休息きゅうそく
- rest
- 余白よはく
- blank space, margin
- 水墨画すいぼくが
- ink painting
- 排除するはいじょする
- to exclude
- 産物さんぶつ
- product
- 取り違えるとりちがえる
- to confuse (one thing for another)
- 空虚くうきょ
- emptiness
- 成熟せいじゅく
- maturity
Questions
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